【保存版】病院・クリニックで伝わる掲示物デザインの5ルール

病院やクリニックの掲示物――待合室や受付前などでよく見かける「お知らせ」や「ご案内」。
しかし、いざ作ってみると「思ったより読まれない」「見づらい」という悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、医療現場での掲示物を「見やすく・伝わる・信頼される」ものにするための基本ルールを、実際のデザイン制作経験をもとにまとめました。
「なぜ伝わらないのか」から「どうすれば改善できるか」までを、5つのステップで解説します。

なぜ病院・クリニックの掲示物は伝わらないのか【原因の整理】

原因1:情報を詰め込みすぎている

医療現場では、患者さんに伝えたい情報が多くなりがちです。診療時間、検査案内、感染症対策、保険証の提示など、どれも重要ですが、
1枚の掲示物に複数のテーマを詰め込むと、結果的にどれも読まれなくなります。
人の注意力は平均3秒程度とされ、最初の印象で「読む/読まない」が決まります。

原因2:文字だけで構成されている

文字情報だけの掲示は、視線が止まりにくく、理解しづらい構造になりがちです。
特に高齢者や視力が低下している方にとっては、「読む前に諦めてしまう」原因になります。
見出しや色、アイコンなどの視覚的要素を使わないと、伝わるスピードが大きく下がります。

原因3:スタッフ目線で作られている

掲示物の内容が「職員には分かるが、患者さんには難しい」ケースも多く見られます。
医療用語や専門的な略語が使われていると、「結局どうすればいいの?」と戸惑われてしまうことも。
読む人の理解レベルを意識した言葉選びが重要です。

では、どうすれば「見やすく、伝わる」掲示物になるのでしょうか。
次のセクションでは、すぐに実践できる5つの基本ルールをご紹介します。

伝わる掲示物デザインの5つの基本ルール【解決策】

ルール1:1枚1テーマに絞る

1枚の掲示物では、1つのメッセージだけを伝えること。
伝えたい内容が複数ある場合は、紙を分けるか、エリアを明確に区切りましょう。

例:

✖ 悪い例:
「診療時間変更」と「駐車場案内」を1枚にまとめて掲載している

〇 良い例:
「診療時間変更のお知らせ」「駐車場のご案内」を別々に掲示している

このように、目的を明確に分けることで、読む人の理解や行動を促しやすくなります。

ルール2:見出しに行動を入れる

見出しを「お知らせ」や「お願い」だけで終わらせず、行動を具体的に示す言葉に変えましょう。

例:

✖ 悪い例:
「保険証の確認について」

〇 良い例:
「受付時に保険証をご提示ください」

動詞を含む見出しにすることで、患者さんが「自分に関係がある情報だ」と気づきやすくなります。

ルール3:文字サイズと行間を最適化する

掲示物は、2〜3メートル離れても読める文字サイズが基本です。
目安としては次の通りです。

  • 受付・待合室:見出し 24pt以上、本文 14pt以上
  • ドア・壁面:見出し 28pt以上、本文 16pt以上
  • 廊下や掲示板:見出し 32pt以上、本文 18pt以上

また、行間は文字サイズの1.5倍前後を確保しましょう。
空間を作ることで、読みやすく、落ち着いた印象を与えます。

ルール4:色と余白で情報を整理する

デザインを整えるうえで、最も効果的なのが配色と余白です。
たくさんの色を使うよりも、コントラストを意識してメリハリをつけるのがコツです。

  • 背景:白や淡いグレーなどの明るい色
  • 見出し:濃紺や深緑で信頼感を演出
  • 強調:オレンジやブルーなどのアクセントカラー

そして、余白は「情報を休ませるスペース」です。
余白が多い=情報の整理が行き届いているという印象を与えます。

ルール5:アイコンや図解を取り入れる

文字で説明するよりも、視覚的に伝えるほうが圧倒的に早く、確実に伝わります。
外国人患者さんや小児科・高齢者施設では特に効果的です。

  • 「マスク着用」→マスクアイコン
  • 「受付はこちら」→矢印アイコン
  • 「手洗いのお願い」→手洗いイラスト

最近では、Adobe Fireflyなどの生成AIを使って、施設オリジナルのアイコン素材を作ることも可能です。
「説明しなくても伝わる」ビジュアル設計を意識しましょう。

以上の5つのルールを意識するだけで、掲示物の印象は大きく変わります。
次の章では、実際に現場で活用するための具体的なステップを紹介します。

今日から始められる実践ステップ【行動支援】

【初級】掲示物を見直すチェックリスト

まずは、現在の掲示物をチェックしてみましょう。
次の項目に当てはまる場合は、改善の余地があります。

  • 1枚に複数の内容を詰め込んでいる
  • 文字サイズが小さく、遠くから読めない
  • 配色が多すぎて落ち着かない
  • 「誰に伝えたいのか」が曖昧
  • 更新日が古い掲示が貼られている

【中級】メッセージ構成を整理する

新しく掲示を作成する際は、次の3つを明確にしましょう。

  1. 誰に伝えるのか(初診患者・高齢者・外国人など)
  2. 何を伝えるのか(診療時間・持ち物・注意事項など)
  3. どう行動してほしいのか(予約・提示・申告など)

この3要素を整理するだけで、自然と「読みやすく・伝わる」構成になります。

【上級】院内全体のデザインを統一する

掲示物を複数設置する場合は、フォント・色・余白のルールを統一することが大切です。
統一感は、病院のブランド力や信頼感を高めます。

WordやPowerPointなどで共通テンプレートを作成し、職員全員で共有するのがおすすめです。

これらのステップを実践すれば、患者さんが自然と目を通す掲示物に変わります。
最後に、記事のポイントを整理しておきましょう。

まとめ|掲示物デザインで「伝わる」病院に変わる

この記事のポイント:

  • 掲示物は「1枚1テーマ」に絞る
  • 見出しに行動を含めると読まれやすい
  • 文字サイズと余白が読みやすさを左右する
  • 色とアイコンで直感的に伝える
  • 統一感が信頼感につながる

掲示物は単なる情報伝達ではなく、患者さんとの信頼を築くコミュニケーションツールです。
今日からできる小さな改善を重ねることで、院内全体の印象が大きく変わります。

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