医療現場や教育施設などで、Wordを使って掲示物を作る機会は多いのではないでしょうか。
しかし、「内容は大事なのに、なぜか見てもらえない」「文字が多くて読まれない」と感じたことはありませんか?
実はその原因の多くはフォントと色の選び方にあります。
同じ内容でも、見やすいデザインに変えるだけで伝わる力と印象が大きく変わります。
本記事では、Wordで掲示物を作る際に役立つフォントと配色の基本ルールをわかりやすく解説します。
なぜWordの掲示物は「読みにくい」と感じられるのか【原因の整理】
原因1:フォントが統一されていない
Wordの初期設定では、タイトルと本文で自動的に違うフォントが使われることがあります。
「明朝体」「ゴシック体」「丸ゴシック体」などが混在すると、視覚的に雑然とした印象になります。
読みやすさを保つには、1枚の掲示につきフォントは2種類以内に統一するのが基本です。
原因2:コントラストが弱く、文字が背景に埋もれている
文字色と背景色の差が小さいと、内容が目に入りにくくなります。
たとえば「グレー文字×淡い黄色の背景」は、視力が弱い人や高齢者には見えづらい組み合わせです。
明るい背景には黒または濃い紺色、暗い背景には白または明るい黄色を合わせると良いでしょう。
原因3:強調のしすぎで視線が分散している
文字を太字・赤文字・下線などで装飾しすぎると、全体がごちゃごちゃして読みにくくなります。
強調は1枚の中で2〜3箇所までに絞り、どこを最も見せたいのかを明確にすることが大切です。
この3つの原因を意識するだけでも、掲示物の「伝わりやすさ」は大きく改善されます。
次は、Wordで使いやすい具体的なフォントと色の選び方を見ていきましょう。
Word掲示を見やすくするフォント・色の選び方【解決策】
方法1:フォントは「読みやすさ」と「印象」で使い分ける
Wordには数多くの日本語フォントがありますが、掲示物では「伝わる読みやすさ」を最優先に考えましょう。
- メイリオ/游ゴシック:パソコン画面・印刷の両方で見やすい標準的なフォント
- HGP創英角ゴシック/Arial Black:タイトルや見出しに適した太字フォント
- MS 明朝:本文に落ち着いた印象を与えたいときに最適
注意したいのは、フォントを混在させすぎないことです。
タイトルは太字のゴシック体、本文は読みやすいゴシックまたは明朝体など、用途を分けて使うのが基本です。
方法2:色は「意味」と「目的」で選ぶ
色は感情や行動を左右する力を持っています。
Wordでポスターを作る際は、目的に合わせて色の役割を意識して選びましょう。
- 赤:注意・警告・危険(例:「立入禁止」「感染注意」)
- 青:指示・信頼・冷静(例:「手洗い」「消毒」)
- 緑:安心・安全・環境(例:「安全確認」「退出時チェック」)
- 黄色:警戒・目立ち(例:「段差注意」「注意喚起」)
背景と文字色の組み合わせは、明度差をしっかりつけることがポイントです。
文字の可読性を重視するなら「白地に黒文字」か「淡い色地に濃い文字」が最も安全です。
方法3:Wordの「テーマカラー」で統一感を出す
Wordのデザインタブにある「テーマカラー」は、統一感のある配色を簡単に選べる便利な機能です。
企業や施設のロゴカラーを基準に1色を決め、サブカラーとしてグレー・ベージュなどの中間色を使うと、落ち着いた印象になります。
- 主色(ベースカラー): 施設ロゴや制服の色
- 副色(アクセントカラー): 目立たせたい要素に使用
- 補色(背景色): 情報を支えるベーストーン
方法4:文字サイズは「離れても読める大きさ」にする
Wordで印刷する場合、掲示距離を意識して文字サイズを決めましょう。
2〜3m離れて読むことを想定すると、以下が目安になります。
- タイトル:28〜36pt
- 見出し:20〜24pt
- 本文:14〜18pt
文字を小さく詰め込みすぎると、読まれる前に視線が離れてしまいます。
情報を整理して余白を活かすことが、結果的に見やすさにつながります。
これらの要素を組み合わせることで、Wordでもプロ仕様に近い掲示物を作ることができます。
今日からできる実践ステップ【行動支援】
【初級】既存の掲示をチェックしてみる
- フォントが統一されているか?
- 背景と文字のコントラストは十分か?
- 強調箇所が多すぎないか?
まずは今ある掲示物を客観的に見直してみましょう。
改善点を1つずつ洗い出すことが第一歩です。
【中級】Wordのテーマ設定を活用する
Wordの「デザイン」タブでテーマを選び、全体の配色とフォントを一括変更してみましょう。
自分で1枚ずつ調整するよりも短時間で統一感を出せます。
【上級】テンプレートを作成して共有する
よく使う形式(注意喚起・案内・お願いなど)をテンプレート化しておくと便利です。
組織全体で使えるフォントと色を統一することで、掲示物に一貫性と信頼感が生まれます。
最初から完璧を目指す必要はありません。
小さな改善の積み重ねが、確実に「見てもらえる掲示物」へとつながります。
まとめ|フォントと色でWord掲示はここまで変わる
- フォントは2種類以内で統一する
- 文字と背景はコントラストを意識して組み合わせる
- 色は意味と目的で選ぶ
- テーマカラーと余白を活かして整える
掲示物は単なるお知らせではなく、施設の信頼や印象を伝えるメディアです。
Wordでも基本を押さえるだけで、伝わりやすく印象的なデザインに変わります。
ぜひ今日から、小さな改善を実践してみてください。